奥村資産管理事務所の金融経済ニュースレター

足元の大きな(?)トレンドを少しご紹介します(2017.4.20)

2017年04月20日


a88249649839b4285132f9ae86f3b08c_s

今密かにアメリカでは30代前半の女性による出生率が1964年以降で最高になっている模様です。

https://www.cdc.gov/nchs/data/nvsr/nvsr66/nvsr66_01.pdf
National Vital Statistics Reports

でもこの高齢出産が進むことは日本でも起きていることですし、先進国の晩婚化が言われているなか特に驚くべきことでも無いただのスルーされるようなニュースのように思えます。

ですが少し掘り下げると見えてくるものもあります。

それは出産している女性達の人口の厚みです。

冒頭の『30代前半の女性』という人口層はいわゆるミレニアル世代(1980〜2000年生まれ)に属します。

そして以下の図は日本とアメリカの年ごとの出生数の推移ですが、ミレニアル世代の人口の厚みは一目瞭然ですね。青く塗りつぶされているエリアがミレニアル世代を表しています。(激しく先細りになっている日本の人口動態を見ていると将来の日本経済大丈夫なのかなと思えますね。。)

スクリーンショット 2017-04-20 16.44.29
(データ参考:<日本>厚生労働省人口動態統計 <アメリカ>Department of Health and Human Services, National Center for Health Statistics)

この図をご覧になって頂ければお分かりと思いますが、日本では年ごとに出生数が減少傾向にありますがアメリカでは減っておらずむしろ1980年ごろから増加傾向だということです。

そして何より特筆すべきはアメリカのミレニアル世代は9,200万人おり、なんと団塊の世代であるベビーブーム世代(1946年〜1964年)の7,700万人よりも人口が多いということです。

http://www.goldmansachs.com/our-thinking/pages/millennials/
Goldman Sachs:Millennials Coming of Age

ミレニアル世代の一番年上の人々は今おおよそ30代半ばなので、冒頭の出生率が上昇している女性と被りますね。つまりこれからこのアメリカ史上最大の人口層がいよいよ本格的に子育てに入っていくということになります。

そうなったらどうなるのでしょうか?

本格的にミレニアル世代による住宅購入が進んでいくことになるでしょう。

それを示すものとしては2016年にいくら家が購入されたのか?ということですが、全米不動産協会によると545万戸販売されており、この数値は2006年以降最高とのことです。つまりもの凄い需要があるということですね。

https://www.nar.realtor/news-releases/2017/01/existing-home-sales-slide-in-december-2016-sales-best-since-2006
Existing-Home Sales Slide in December; 2016 Sales Best Since 2006

では供給は足りているのか?ということですが、あまり需要ほど伸びがあるという感じではなさそうです。以下の図は住宅がどれだけ市場に供給されているかを示していますが、リーマンショック後の落ち込みで底についてからそれほど持ち直していません。

スクリーンショット 2017-04-20 19.24.50
(参照:Federal Reserve Economic Data)

つまり基礎的なマクロ経済学的に考えれば、需要は上昇してるけど供給は限られている状況である、しかも今後ミレニアル世代が続々と子育て期に突入して家を購入するとなると想定すれば、需要は増すばかりです。そうなると考えられるのが価格の上昇ですね。

既にその兆候が感じられるものが以下のチャートになります。

スクリーンショット 2017-04-20 18.56.43
(参照:StockCharts.com)

チャート内の赤いラインが住宅建設関連株ETFの値動きの伸び具合を示しており、青いラインがS&P500です。ここ1年ほどのパフォーマンスの差が如何にあるかが一目で分かります。

この状況に抜け目ない投資家は何をしているのでしょうか?

そこで参考にしたいのが投資家の一人が世界一と謳われるウォーレン・バフェットの動きです。

彼の会社バークシャー・ハサウェイが保有している銘柄の持ち株比率ランキングを見てみると、以下のようになります。
1. USG(比率:29.7%)
2. クラフト・ハインツ(比率:26.69%)
3. ダビータ(比率:19.27%)
4. アメリカンエクスプレス(比率:16.8%)
5. フィリップス66(14.4%)

<参考>
Berkshire Hathaway Inc. 2016 Annual Report
http://www.berkshirehathaway.com/2016ar/2016ar.pdf

トップがUSGになっています。この会社はまさに『The・住宅関連株』と呼べるようなもので、しかも去年2016年6月末時点の保有率26.7%から年末時点の29.7%まで3%ほど伸ばしています。

これはこれからミレニアル世代が子育て期に入り年収もそこそこ上昇し始める時期に差し掛かったからバフェット氏はこのような動きを見せたと言えるのかもしれませんね。

彼は毎年一回送っている『投資家への手紙』にこう書いています。

『アメリカにおけるビジネスやイノベーションはまさに金のガチョウと呼べるもので、これからももっと大きな卵をたくさん産み続けてくれることでしょう。社会保障制度の公約はしっかりと履行されるでしょうし、これからもより良いものになると思います。そして、この国の子供たちは両親よりも遥かに豊かな生活を送ることができるようになるでしょう』

この最後にある『この国の子供たち』というのはミレニアル世代やそれよりも若い人達を指しているのだと思います。これからのアメリカ経済を動かす厚みのある人口動態からして見てもそう判断できそうな気もしますね。

大きなトレンドが迫ってきているように思えます。


カテゴリー:投資