奥村資産管理事務所の金融経済ニュースレター

安全資産が安全資産で無くなる?(2017.05.18)

2017年05月18日


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投資の世界では『債券は安全だ』と思われていると思います。

ですがここ最近いくつかの債券は株式よりもリスクが高くなってきてると言えそうです。

ズバリここでお伝えしたいリスク資産になるかも?と言える金融商品は『米国債と紐付けされているETF』です。え?米国債ってかなり安全なものじゃないの?と多くの方がお思いかもしれませんが、なぜそう言えるのかについての背景をこれから解説したいと思います。

それでは、1982年まで遡ります。当時の米国債金利はなんと約14%以上もありました(!)。

そしてそれから35年もかけて金利が下落し続け現在2%前半で推移しています。以下の図をご覧ください。

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これはアメリカの10年物国債利率の推移を表した物です。1981〜1982年頃を頂点に大きな山が出来ているのが分かりますね。まさにその頃から現在まで、金利はずっと下がり続けていたので債券価格は上昇し続けたということです(債券市場というものは金利が上昇すると価格が下がり、反対に金利が下落すると価格が上昇するものです)。

米国債はリスクフリーで年率換算で9%以上ものリターンがあった超優秀な金融商品でした。そしてこれからもずっとこれが続くと思っている方も多いのだろうと思います。

ですが、ここからが大事なのですが、アメリカの金融界では「そろそろこの長期間続いた金利下落トレンドも上昇に転じるのでは?」と囁かれていることです。

なぜか?

理由はどうやらアメリカの中央銀行に当たる連邦準備理事会(FRB)がリーマンショック後から採っていた金融政策からの正常化ということで利上げを進めていることが挙げられます。

実際に『正常化』が始まった2013年には10年物米国債金利が1.38%から2.98%まで上昇しましたし、昨年からも7月の1.36%から今年5月現在の2.22%まで1年以内で1%近くも上昇しており、FRBの動き次第でアップダウンが激しい状況がここ最近見られます。

ですので今後もFRBが利上げを続けていくとなれば更なる金利上昇が考えられますし、あのグリーンスパン元連銀議長も「いずれ金利は5%にまで上がる」とも言っています。

Greenspan Predicts Bond Yields Rising As High As 5%
http://www.zerohedge.com/news/2016-11-07/greenspan-predicts-treasury-yields-rising-high-5

それにトランプ政権がインフラ投資に1兆ドルかけると言っていますし、またアメリカのベビーブーマー以上の人口数があるミレニアル世代(1982年〜2000年生まれ:9,200万人)が統計的に消費額が上昇し始まる34歳に昨年から差し掛かり経済が上向きに転じるとも予想されているので(人口動態についてはこちらのゴールドマンサックスのページに詳細が記載されています→http://www.goldmansachs.com/our-thinking/pages/millennials/)、そう言った理由からも1982年から長期トレンドとして続いていた金利の下落トレンドが上昇に転じさせていくのでは?とも思いますしそう言われています。

しかしこれが難しいところなのですが、『いつ本格的な上昇に転じるのか?』ということを予測するのは正直分かりません。それは今年かもしれませんし来年かもしれませんし、もっと先かもしれません。

ただそういったことが起こり得る環境が整いつつあるということを知ってもらえればと思います。

では、気になるのが実際に金利上昇に転じた際にどれくらいの損失が可能性としてあるのか?ということですが、金融機関によってバラバラですがアメリカ最大の資産運用会社ブラックロックでは金利が1%上昇した場合にどれだけの損失が生じるのかについて以下のような予測を立てています。

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(出典:BlackRock.com)

また別のアメリカの資産運用メディアでは以下のような予測が紹介されています。

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(出典:Banyanhill.com)

ここでは1%金利が上昇した場合、
・1〜3年物米国債ETFの価格:1.9%DOWN
・7~10年物米国債ETFの価格:7.6%DOWN
・20年以上米国債ETFの価格:17.5% DOWN

と、僅か1%上昇しただけでかなりの損失が見込まれる予測が紹介されています。

ですので、もし米国債に紐付けされた金融商品を保有されている場合、今のうちにポートフォリオの再構築を検討されてみた方が良いと思います。

今回は以上になります。
お読み頂きありがとうございました。


カテゴリー:投資