奥村資産管理事務所の金融経済ニュースレター

相続・贈与

租税回避策への取り締まりを一層強化へ

2016年08月23日


財務省と国税庁が企業や富裕層に
租税回避策を指南する税理士や会計事務所、
コンサル会社に仕組みの開示を義務づける
方針を明らかにした模様です。

先日英国でも課税逃れの手法を企業や
富裕層に助言した銀行や会計士、弁護士等に
罰則を科す方針を明らかにしている
ので、
FATCAからパナマ文書という流れから
いよいよ税逃れに対する網掛け強化が
国際的に広く執り行われることに今後も
なっていくことが予想されます。

先日もFacebookが租税回避行為により
50億ドルが追徴課税される恐れがある

報じられており、租税回避スキームが疑われる
グローバル企業においても今後同様のケース
が発生する可能性はあるのではと思います。
(デラウェア州に本社を置いている米企業
等への取り扱いがどうなるかも気になります)

国内の話に戻しまして、気になるところは
ここで言及されている『租税回避行為』の
定義付けです。

これまで当たり前のように助言してきた
節税策についても『租税回避行為』として
いちいち開示するとなると、対応だけで
大変なことになりそうです。

また太陽光の減価償却等の国策として
節税策が提供されることがありますが、
このような回避策はどの見なされるので
しょうか?

いずれにせよ、富裕層や経営者のみならず
会計士や税理士、または保険販売パーソンに
とっても重要なニュースだと思うので、
注意が必要になりそうです。

奥村資産管理事務所


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相続税申告漏れ特集2

2015年04月14日


過去に国税庁から相続税の申告漏れを指摘され、追徴税額を納めた事例を紹介しています。
このような過去の事例を学ぶことで何をやって申告漏れを指摘されたか知ることができます。
今回は海外資産絡みの事例を紹介します。

1)130億円相続申告せず 生前韓国へ、親族に追徴課税
・被相続人は生前、何度かに分けてキャリーバッグに現金を入れて韓国に持ち出す
・親族名義の銀行預金などで計約130億円の資産を保有
・親族は日本国内の相続財産は申告したが、この約130億円は申告せず
・約130億円の資産については被相続人名義でなかったため、遺族は課税対象外と判断した
現金で国外へ持ち出すなんて力技ですね。現金で移動されたら記録は残りません。
しかし結局調査によってわかってしまったので、親族口座記録が不自然だったのでしょうか。
韓国の税務当局から預金の一部を被相続人の財産と認定されています。

日韓の国税当局が被相続人の親族4人に相続税の申告漏れを指摘し、
韓国側が約60億円、東京国税局が約3億円を追徴課税したとされています。
日本国内の居住者の海外資産については、日本の国税局も課税できますが、
資産がある外国での課税が優先されます。
今回は韓国の税務当局が課税したため、東京国税局は二重課税を防ぐ「外国税額控除」を適用し、
本来の税額約63億円から、韓国での税額約60億円を差し引いた約3億円を課税したとされています。
2)所得二十数億円申告漏れ=接着剤スリーボンド元会長-「海外居住」理由・東京国税局
相続税と違い、所得税ですが海外絡みですのでご紹介します。
・元会長はスリーボンドのシンガポールや香港など複数の海外子会社から、
役員報酬として毎年計約2億~5億円を受領していた。
・自身を非居住者に当たるとして、日本で海外で得た報酬を申告していなかった。
非居住者であれば日本国内で生じた所得(国内源泉所得)に限って納めればよいとされています。
そうして海外で多額の報酬を得て、日本で報酬を得る場合よりも節税していたのですね。

しかし税務当局は
・元会長は1年の半分以上日本に滞在していたと調査により判明し、
生活の拠点は日本にあるとして、報酬は日本で申告するべきと指摘しました。
2013年までの5年間で所得計約二十数億円の申告漏れを指摘され、
無申告加算税などを含めた所得税の追徴税額は約5億円となり、すでに納税したようです。

 
今回の例のように、海外に資産を移したり、海外で利益を得ることによる租税回避は昔からあります。
しかし、最近の税務当局はこのような海外資産に厳しく目を光らせて、様々な対策を進めています。
それについては後日改めて記事にしますが、海外を利用した租税回避はかなりの覚悟が必要になりますね。


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相続税申告漏れ特集

2015年04月09日


最近吉本興業の創業者一族による相続税申告漏れのニュースが紙面を賑わせています。
このような相続税申告漏れのニュースは度々出てきますが、
一体何をやって申告漏れとなったのかこの度まとめてみました。

1)吉本興業創業者一族申告漏れ:3億1000万円
・同族会社に6000万円を贈与、同等額を当該同族会社から借り入れ
・それとは別の同族会社から購入費を借り入れ、賃貸マンションを購入
賃貸不動産の課税評価額は低く、借入金は相続財産から引けるため、
このようなことを行ったのだと思います。
しかし税務当局は
①借入金については帳簿上の処理で実際にはお金は動いていない
②被相続人の病状が進行した後での取引である
③被相続人の死亡2ヶ月後に賃貸不動産を同族会社が買い戻している
ことから、相続税を不当に安くするために行った処理としました。
そして、相続税法が禁じる「同族会社を使った不合理な取引」に当たり、無効とされました。
追徴税額は約9000万円とされています。

2)トステム創業者長女、遺産110億円申告漏れ
・被相続人の保有株式約220億円相当を売却して現金化
・この220億円で非上場のファミリー企業に出資し、非上場会社の株式になる
・当該非上場会社の株式を長女が相続
・類似業種比順方式によって非上場株式を約85億円と評価していた
上場会社株式を時価のない非上場会社株式に変え評価額を下げたようですね。
この方法で何が問題かと言われると、短期間のうちに集中して上記の全てを行ったことと言えます。
亡くなられた直前の約1年間の間に全てを行ってしまったので、
税務当局に相続税対策ではないか?と勘ぐられてしまったのではと思います。
行っている事自体は通達通りの合法的なものですが、
税務当局は財務評価基本通達6「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と
認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」
により、否認したのですね。
これによる追徴税額は60億円と言われています。

これらの例のように、相続税対策では長期的なスパンを取り計画的に行うことが大事ですね。
財務評価基本通達6は税務当局の判断によってひっくり返す事ができるものですので、
いくら合法的に行っていても目をつけられるリスクをなるべく減らす対策が必要なわけです。


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